外出機会が減ると日常生活において意欲の低下がみられ、精神的な落ち込みがみられる場合があります。 その落ち込みが強いときは認知症やうつ状態を引き起こすこともあり、日常生活においても大きな影響が出てしまいます。 このように、日常生活において歩行は単なる移動手段ではなく、自分らしい生活を過ごすために重要な動作となります。昨日まで元気だったのに急に親が歩けなくなってしまった場合は、まずは医療機関を受診しましょう。 加齢による純粋な体力の低下によって歩けなくなった場合は、介護サービスの利用を検討したり、家族間での話し合いを行うことが大切と言えます。 そして、親の介護は家族全員の問題です。歩行能力の低下原因は「加齢」にあり
歩行能力低下の原因として考えられる「加齢」ですが、より詳しくいえば「加齢による下肢の筋量の減少」が原因です。 老化によって自然と筋肉量が減っていくと、歩行も含めた身体全体の活動量が減ってしまいます。 そして、それがさらなる筋肉量の減少を招いてしまうのです。
歩くのが困難になる病気は?すぐに病院を受診すべき、正しく普段通りに歩くことが出来ない場合に関連する病気もあります。
- 急性脳症
- 髄膜炎
- 腹膜炎
- 脳梗塞
- 小脳出血・梗塞
- ウェルニッケ脳症(Wernicke脳症)
- 大腿骨頚部骨折
- 慢性硬膜下血腫
ずっと動かないとどうなる?
1-1.筋力の低下をまねく
運動不足が続くと、体力や全身の持久力が低下し、体の活動量が減少します。 活動量が減ることで、さらなる筋力・筋持久力の低下や、体力・全身持久力の低下もまねきかねません。 その結果、歩く・立つなどの移動能力が低下し、仕事や家事・外出・趣味による活動の機会が減るなど、生活の質も低下します。寝込んで身体を動かさないと、1週間で1割くらいの筋力が低下します。 筋力の低下だけでなく、関節が曲がりにくくなったり、骨粗しょう症で骨がもろくなったりします。 腰痛も起こりやすいです。 1か月くらい寝ていると筋力は半減します。
高齢者が寝たきりになったらどうなるの?
寝たきり状態が長引くと心臓の機能も衰えて、心拍出量の低下とともに立ちくらみ(起立性低血圧)などもみられやすくなります。 また、特に下肢を動かさない状態が長引くことで、血栓ができてしまうことがあります(深部静脈血栓症)。 さらに、呼吸に関連する筋肉の衰えによって肺活量が低下し、換気量も減少していきます。
運動量が減ることにより日常生活を送る上で必要な筋肉量も減っていき、そして動く機会が減ると物事を考えるということも減っていき、認知能力や判断能力の低下につながります。 また、運動をしないことによって食欲もわかなくなり、栄養が足りない状態となります。 そして栄養が体にいきわたっていないと何をするにも億劫になります。
高齢者が急に歩けなくなる病気は?
*「廃用症候群」は「生活不活発病」「寝たきり症候群」とも呼ばれています。 体を動かさない状態が長く続くと、身体能力低下と内臓の機能低下が起こります。 知らぬまに進行し、気がけば「起きられない」「歩けない」状況も少なくありません。 絶対安静の状態で1週間たつと10~20%の筋力低下が起こると言われています。治療では、頸椎の安静に努めるべく、カラーという首の装具をつけることもありますが、改善がみられない場合は脊髄の神経を圧迫している椎間板を除去する手術などが行われます。 また、痛みを和らげる処置として、消炎鎮痛薬や筋弛緩剤などの薬物療法、リハビリにより手足の働きを改善する療法なども行います。足に力が入らない 太ももやふくらはぎなど足に力が入らなくなってしまう場合は、歩きにくさや痛みを伴うことが多く、また、立ち上がること自体が困難になってしまうこともあります。 激しい運動のあとであれば、一時的にこのような症状が出ることがありますが、そうでない場合は筋肉や神経の障害が原因となっている可能性があります。
運動不足が続くと、体力や全身の持久力が低下し、体の活動量が減少します。 活動量が減ることで、さらなる筋力・筋持久力の低下や、体力・全身持久力の低下もまねきかねません。 その結果、歩く・立つなどの移動能力が低下し、仕事や家事・外出・趣味による活動の機会が減るなど、生活の質も低下します。
全く運動しないとどうなるか?運動不足は、耐糖能異常、脂質異常、高血圧、肥満などの生活習慣病の発症リスクを増大させ、心筋梗塞や脳卒中などの命の危険のある疾患にもかかりやすくなり、死亡リスクをも増大させます。
1週間動かないと筋肉はどうなる?人間の筋力は、1週間の絶対安静で10~15%、3~5週間で50%まで低下します。 また筋肉の萎縮も同時に起こり、2か月以内に筋肉の量は半分に。 動かないことは関節にも影響し、関節が動かしにくくなったり、広がる幅が狭くなったりします。
2週間運動しないとどうなる?
しかし、運動不足がたった2週間続いただけで、筋肉量は大きく低下し、もとに戻すのに3倍の時間がかかることが明らかになった。 運動をしない期間がわずか2週間続いただけで、筋力と筋肉量は大幅に低下することが、デンマークのコペンハーゲン大学の研究で明らかになった。
日本の男性の平均寿命は80.79歳、女性は87.05歳です。 更に、健康寿命は男性70.4歳、女性73.6歳です。 その中で更に寝たきり期間は男性は9.2年、女性は12.7年と云われています。 これは残念ながら世界一です。そして、歩けなくなると外出する意欲も減るため、引きこもりがちになり、心身に影響を及ぼす可能性もあります。 必然的に運動の機会が減ってしまうことで、筋肉や脳への刺激も少なくなるため、認知症やうつ症状の原因になるかもしれません。身体機能に問題がなければ精神科に受診することをおすすめします。 受診科は症状により変わりますが、体に異変がある場合には脳外科や神経外科への早めの診療が必要です。